2006年 03月 05日
前原民主党とネットポピュリズムの限界耐震強度偽装問題から、BSE問題に至る過程で、きっこ氏と民主党の間でも共犯関係は確立されていきました。きっこ氏は民主党側から「裏の取れない怪情報」を提供され、それを自らのBlogでセンセーショナルにまくし立てます。国会ではそれを、馬渕議員を始めとしたきっこ氏と共犯関係にある民主党の議員が追求するという、連携プレー(壁パス)が非常に大きな威力を発揮したわけです。これによって民主党議員は自らリスクを取らずに、怪情報を国会に持ち込むことが出来るようになったのです。 ■民主党によって再組織化された「きっこの日記」 この「壁パス(ワン・ツー)」を可能にする大前提は、きっこ氏の影響力に他なりません。きっこ氏が一気に注目を集めるようになったのが、耐震強度偽装問題の前後とすると、このあたりから民主党の政策担当秘書や関係する広告代理店が、「きっこの日記」の評判を、2chなどを中心にローラー作戦で宣伝して回ったと考えることは十分に可能だと思われます。それまで、芸能関係のアングラ情報を扱うだけだったサイトが一気に巨大化していく過程で、民主党は「きっこの日記」を情報工作のためのメディアとして再組織化していったと私は見ています。 ■民主党執行部の「新思考」とネットポピュリズム 今回の「偽メール事件」は、民主党の執行部の「若さ」、「経験のなさ」に起因するという論調が目立ちました。確かにそういう側面があることを否定はしませんが、私は民主党前原体制は「新思考」によって、以前の民主党とは一線を画した方法論によって政局に挑もうとしていたと考えています。その「新思考」の二つの柱が、「対案路線」と「ネットポピュリズム」であると考えています。そしてネットポピュリズムにおける橋頭堡こそが「きっこの日記」であったのだと考えているのです。 ■ネットポピュリズムの限界 ネットポピュリズムを定義すると、「心証と怪情報の相互作用によってネット上に発生するトレンドを吸い上げ、自らの政治コンセプトに組み込みながら、そのモメンタムを政局に効果的に活用しようとする政治手法」ということになるでしょうか。こうした手法は取っ掛かりとしては、非常に効果を発揮する場合もありますが、状況にけりをつけるための決定的な情報をもたない限り、尻すぼみで終わる可能性も常にはらんでいます。実際に評論家が「4点セットによる攻勢」で「小泉政権はレームダック化している」と決め付けたがっていましたが、実際にそれほどたいしたダメージを与えていなかったのですから。 ■偽メール事件ときっこの日記 この事件が興味深かったのは、これだけ話題をさらった事件にもかかわらず、きっこ氏は事態が収束するまで、一切触れようとしなかったことです。これは、永田議員が民主党ときっこのワン・ツールートに荷担するメンバーでなかったことを意味しています。しかし一方できっこ氏が「これからもっと素晴らしいミサイルが炸裂する」と暗示していたものが「堀江メール」であったという指摘もあります。もしそれが事実だとすると、きっこルートとデュモンルートは個別に存在しているが、両者に同時に荷担する民主党の議員が存在し、その人物がきっこ氏に「メール」の存在を明かしていたと考えることが出来るでしょう。問題はそれが誰なのか、厳密に絞り込んでいけるのか、ということになりそうです。
by SpeedPoetEX
| 2006-03-05 00:56
| 政治
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