2006年 06月 13日
何故ジーコジャパンはオーストラリア戦にだけ敗れたのか?
■きつい
とにかく、重いボディーブローをくらってそのダメージがじわじわ体中に回ってきている感じです。この重苦しい不快感が、体から抜けてくれないのはつらい。中田が「普通にやれば勝てる」みたなことを言っていたので、「不用意なことを言うな」と少し警戒していたのですが・・・ しかし、きつい試合でありました。しのいで、しのいで、しのいで、逆転負け。セカンドボールもほとんど拾えてないように見えました。ポゼッションで負けている時点で、負けなんですが、「(ボールを)もたせている」という表現もありますが、それがあてはまっているようには見えない試合でした。 ■苦手なパターン 何故負けたのか、というのはなかなか難しい問題です。逆ににジーコジャパンをどう攻略するか、という問題の立て方をしてみる。これは非常にシンプル。中盤の主要な選手をマンマークすることです、それによってホットラインを消していく、今日はまさにそういう感じでした。これはオマーンのマチャラが採用した戦術で、ヒディングも同じでした。つまりマンマークからのインターセプト、そしてハーフカウンターという手順です。こうなると、中盤の構成力を高めて勝負するジーコジャパンのパフォーマンスは明らかに低下します。ですから、ジーコジャパンが格下相手に苦戦し、格上相手にいい試合ができるのは、そのことが関係しているケースが多いと思います。 ■対応策 この対応策としては 中盤のポジションを素早くローテーションしていくこと 中盤をすっ飛ばして前線に一気にフィードすることなどです。 さらに、フォーメーションを変更しマークを混乱させることも有効です。 ■カウンター戦術と曖昧なFW マンマークで中盤が沈黙してしまう、しかしそれでもどうにか持ちこたえられる状態であったは、あらかじめカウンター狙いだったからです。 さて、問題はカウンターは戦術として成立していたのか?ということになります。これは間違いなく成立していました。何度も決定機を作り出していた訳です。ここで一番問題になるのが、シュートを打たない、打てないFWですね。しかもパスもまともに出せない。とにかく高原、柳沢のゴール前での連携の無さは、悪夢のようでした。つまりこの二人が決定的なチャンスで、しっかりシュートするか、きちんとパスを出せれば、問題は無かった訳です。 高原はドイツ戦以降、ビックマウスが気にかかっていましたが、本番でこうならもういらない、と言いたいところです。しかし、このダメなFWでもチャンスを作ることはできるし、最悪前線からチェックさせるだけでもけっこう役に立つのです。得点力あるFWがいない。これは日本の歴史的な課題なんですが、ジーコは中盤、2列3列目からの飛び出しで点を取るという構想でしたので、高原、柳沢のようなインポ系のFWでも動きの質や身体能力が高ければOKだったわけです。 ■ゲームデザイナーの不在 とにかく、攻められすぎです。ボールをキープして相手をいなすとか、そういうサッカーをきっちりしないいと持ちません。試合を切る、落ち着かせる、殺す、そういう試合運びができるゲームデザイナーがいないのですね、しかも相手からは中盤でハードチェックされ、中田はほとんど消えてたし、なんといっていいのか・・・ ■ヒディングは名監督か? この敗戦でヒディングの評価がさらに上がっていますが、正直そんなにすごい監督だとは思わないです(マチャラの時にも思ったけれど)。最後もFWの枚数増やして徹底したパワープレイをしていただけ。「策士」とか、そういうのではなく、セオリーどおりの手を打つ、堅実な監督と言った印象ですかね。ではそれだけで、何故勝てるのか、個人的な印象なんですが、この人は「流れに乗っていく采配」ができる人なんです。今日の采配を見ても、何か凄いアイディアとか、ほーそう来るか、みたいなのは全く無いです。 ■試合の流れ 当り前のことですが、FWの枚数を増やしていけば、後ろは手薄になる訳です。それは丁半博打のようなものですから、逆にカウンターで点を取られるリスクも高まります。しかし、そこで点を取られず、点を取れたのは何故か?と言うことなのです。つまりヒディングの采配は特徴は試合を流れを読んで、「流れを強めていく采配」です。 ただこの「流れ」というのは何なのか、正確に定義できるものではありません。しかし、試合の「流れ」を読めない、あるいは逆行するような手を打った監督で勝利した監督を見たことは無いです。 つまり同じ「強運」の監督が二人いて片方が「流れ」をしっかり読み、それを強める手を勇敢に打ち続けた。片方が若干間違える。ジーコの小野の投入、これはオーストラリアの3トップに対応させようとしたものでしょう。戦術的に絶対間違っているとはいいがたいですがしかし、「勝っている時は動かない」というジーコのセオリーがこの時揺らいだことも確かです。ヒディングは自分のセオリーを徹底して追及し、ジーコは揺らいだ。この瞬間にぎりぎり均衡を保っていた試合のバランスが、決定的に変化したということです。
by SpeedPoetEX
| 2006-06-13 04:45
| サッカー
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