2006年 07月 07日
北朝鮮の最後の日
■北朝鮮のロジック
Q:一夜明けて、新たにテポドン2号が確認されるなど、事態は一向に収束する気配を見せませんね。 M:北朝鮮は緩慢な自殺を遂げようとしているのだろうか?もしそうでないとするならば、彼らの取っている行動は彼らに見えている政治的コンテクストから逆算されて出てきているはずだよね。それをどう再構成するか、という問題になるのかも。 Q:単に「狂ってる」と言う説も出ていますね。 M:まあ、ギリギリのラインを取っている、理性的にそれなりのロジックで、と考えてみよう、とりあえずは。 ■「戦争にならない」根拠 Q:絶対条件は「戦争にはならない」ということだと思うんですが。 M:そうだね、アメリカは軍事行動に出ない、というぎりぎりの判断があったはず。問題はその根拠だよね。 Q: 国連安全保障理事会では中国とロシアが拒否権を発動し、日本の提案したの制裁決議案は否決される見通しです。 M:このレベルの制裁でも否決される訳で、地政学的に見てもロシア、中国は北朝鮮をバッファとして残しておきたいんだろうね。 Q:アメリカが日本と協同で、北朝鮮に先制攻撃をかける可能性はありませんか? M:十分以上にあるね、問題は「今、その時か?」ということ。北朝鮮のミサイル技術を今回の発射実験から推定すると、やはりまだ差し迫った脅威という段階にはないという判断があるかもしれない。そうだとするとこの事件をすぐさま軍事行動に直結させるより、日米共同のミサイル防衛構想を追い風に乗せて加速させたり、制裁に後ろ向きで態度が曖昧な中露の二大国に対して、国際的なプレゼンスをより効果的に印象付けるなど、先行してやるべきことはいくらでも見つかるはずだからね。 ■北朝鮮最後の日 Q:しかし、偵察衛星で確認したところによれば、テポドン2号は故意に短距離で撃ったのではなく、明らかに故障により墜落したもので、それがなければハワイ周辺海域に着弾していた可能性が高かったことになります。 M:うーん、なんかアメリカ政府も態度をいっそう硬化させているという報道も出ているね。困ったもんだ(笑) Q:こうしたことが徐々に明らかになるにつれて、中国やロシアの北朝鮮に対する影響力の低下は鮮明になってきました。不確定性がより高まった北朝鮮に対して、米国が軍事行動に出ても強く非難は出来ない状況が整いつつありますね。 M:北朝鮮が「おもしろい」と思うのは、ゴミみたいな国なのに、どの大国のコントロール下にも絶対入らないという、徹底したプライドとそれを可能にするラディカルなマキャベリズムを有していることだね。中国とロシアの関係も北朝鮮から見れば自らを「高く売る」ための利用すべきパワーバランスの一つに過ぎない。北朝鮮は全ての国に自分を高く売ろうとするけれど、結局どの国も北朝鮮を所有することは出来ない。周辺諸国との様々な駆け引きの中で、不可避的に発生する権力の真空状態を猫のように巧妙に利用しつづけている。どの国も結局、空手形をつかまされるだけなんだよね。 Q:それはいつまで続くんでしょうか? M: アメリカのミサイルが北朝鮮を国家ごと永遠に沈黙させるまでだろうね。問題はその時、北朝鮮として存在した国家らしきものは、韓国ではなく中国のものになるような気がする。つまりアメリカは北朝鮮を無力化した上で、中国に譲るだろうということだ。そんな気がしてならない。目と鼻の先にアメリカ軍にいすわったり、韓国との併合を中国が許すとは思えないから、裏でそうした取引がある可能性があると思うよ。三方一両損という感じでね。
by SpeedPoetEX
| 2006-07-07 04:45
| 政治
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