Marehitoの溺れる魚は鳥かもしれない

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従量制 for NGN?

■「従量制」が飛び出してきた枠組みを考える

Q:いかにも、怪しげな単語の並びましたね。
M:従量制の問題が、どういう枠組みからスピンアウトしてきたのかということを遡っていくと、そこにたどり着く。

Q:従量制というのは、もともと単独の問題ではないということですね。
M: IP懇談会は何のための懇談会なのか、という問いがあって、それは2010年を目途にスタートさせたいNGNに向けての業界のルール作りということになる。そのためのプログラムが「新競争促進プログラム2010」ということなのかな。

Q:自信なさげですね。
M:正直よく分からないから(笑)
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NGNはつまらん!とお怒りの「インターネットの父」サーフ氏



NGNとは何か?

Q:まずNGNとは何か?という問題があります。それ以上に、NGNに向けて総務省が業界の尻を激しく叩いているのは何故か?という問題もあります。
M:NGNは次世代ネットワークのことです、あるいはそのための「情報インフラの再構築」です。NGNはNext Generation Networkの略ですが、あんまり内容のない単語の組み合わせだね。

Q:意外と普通というか、つまらない単語の寄せ集めですね。
M:構想自体もそうならないといいけどね。では、「よく分からない」NGNについて簡単に解説してみます。間違っている可能性が高いです。ご注意を。

○NGN(Next Generation Network)
2010年を目途に成立を目指されている、次世代ネットワーク。ネットワーク技術とIP技術の融合により、現在のインターネットのマイナス面を克服し、より安全で安定したIP網の構築を目指しているらしい。具体的には、現在の電話回線を全てメタルから光へ、交換器をルータに移行し、固定電話網、携帯電話網、インターネットを統合し、完全IP化を目指している。

長所:セキュリティが格段に上昇するらしい。セキュリティソフトいらない?ベストエフォートではなく、明確な帯域保証(QoS)がされるらしい。固定と移動の融合による、シームレスな通信が実現するらしい。緊急通信(防災その他)における安定性が確保されるらしい。


短所:料金が高くなるらしい。「利用料」をとられる?インターネットの持つ開放性や創造性が、スポイルされる可能性がある。

2chのオーマイニュース化?

Q:分かったような、分からないような。
M:ものすごく比喩的に「2ch」を「インターネット(IP技術)」、「新聞」を「固定電話(電話のネットワーク技術)」に置き換えて、その関係で考えてみるね

NGNにおいては、2chと新聞の融合のあり方が問題になっているわけです。新聞は部数の減少が止まらないので、人気のある2chに目をつけた。そして2chと新聞を融合すれば、素晴らしいメディアができるはずだと考えた。それで2chのネガティブな部分をばっさり切ることにした。載せる情報は全て裏を取らなければならず、匿名制も廃止して全て実名、差別用語は当然禁止、AAも禁止という感じで、どんどん全ての人が「安全」に楽しめるように再構築することにしたんだね。

Q:それってまるでオーマイニュースじゃ・・・
M:つまり、そこでそれは2chの持っている創造性をスポイルしてしまう、という批判が出てくるわけで、まあ、そうなるともう2chでもなんでもないしね(笑)

Q:融合といっても、インターネットをインターネットたらしめている開放性が犠牲になってしまうということですね。
M:単なる二つの異なるテクノロジーの融合というだけでなく、二つの異なる「思想」の衝突がおきていると考えた方がいいだろうね。


Q:それで、インターネットをNGNとは別に残そうという意見が出てくるわけですね。
M:両者を共存させる、連携させる、など様々なオプションが考えられているようだね。
媒体がツイストペアか光ファイバか、あるいは無線かといった事柄は気にする必要はないし、アプリケーションのことも関知しない。テキストだろうが何だろうがただの『ビット』として扱う
と語ったサーフ氏の「パケット交換ネットワーク」の開放性や自由度を否定しかねないNGNの息苦しさは、自分的にはつらい。


従量制とNGN

Q:従量制の問題とNGNは関連があるのですか?
M:今の段階では、NGN自体が曖昧だし、決定的なことを言うのは難しいね。ただ、論理的に考えれば2010年にはNGNはスタートする訳で、どういう形でスタートするかを問わず、従量制の問題はそこでもう一度再定義されることになる。

Q:前回は、総務省と業界団体の癒着による、抜け駆けなしの従量制移行の可能性について考えたわけですが、NGNを前提にするとやはりその関連を考えない訳には行きませんね。
M:IP懇談会やプログラム2010からは、二つの課題が飛び出してきたよね。一つは「従量制問題」、もう一つは「インフラのただ乗り問題」なんだけど、どちらも同じ問題だからね。

IP懇談会の報告書では、第5章ネットワークの中立性の確保のあり方(2)「ネットワークコスト負担の公平性」部分にあたる。ここで、NTTコムは
利用者への追加的料金の徴収については、事業者のビジネス判断にゆだねられるべき
と答えている。これは、「やりたい奴はやればいい」という風に聞こえるね。つまり、まだ自由競争を前提にしている感じがある。逆にCTC(中部テレコミュニケーション株式会社)は
リッチコンテンツの流通に伴う設備増強のコストは、平均以上のトラヒックを流通させた起因者(コンテンツプロバイダ及びP2Pを利用するヘビーユーザ等)が負担すべき
と、明確にコンテンツ業者とヘビーユーザへコスト負担を迫っている。

Q:ソフトバンクはコスト問題を「通信機器や通信技術の進歩により吸収可能」とコメントしています。この辺を見ると全体が足並みをそろえているというわけでもないですね
M:表向きの意見という可能性もあるけどね。新競争ルール確立の最も重要な問題は、NTTに対する規制だからね。ただ総務省はトラフィック増加に起因するインフラ増強によるコスト問題を利用者負担の問題へと転嫁した、それがコンテンツ業者に対する「インフラただ乗り問題」、ヘビーユーザーに対しての「従量制問題」という形で割り振られた、ということは確かだろうね。

Q:結局、この割り振りがNGNによって再定義されるとすると、今のインターネットにおける料金体系が従量制にシフトするのとは少し違う、ということになりますね。
M:これはどういう形でNGNに移行するのかによると思う。インターネットが完全にNGNにシフトする、ないしNGNがインターネットを完全に飲み込む形であれば、料金は今より確実に上がる。全ての道路がF1サーキットみたいになるようなもんだからね。それとは別にインターネットが存在する形で並存するようならば、そこでもまた別の料金体系の問題が出てくるだろう。

Q:総務省が尻を叩いて、業界全体で取り組んでいる以上、NGNへのかなり大掛かりなシフトが起こるような気がしますが。
M:NGNは帯域保証ができるらしいと上でも書いたけど、帯域保証が可能ということは、帯域の選択・予約が可能ということだよね。もしそうであるならば、NGNの利用料プラス帯域選択的従量制の複合料金体系になるということなのだろうか?

Q:ユーザー側の反応も、NGN自体の情報が少ない現在では、分かりませんね。
M:もしNGNをFTTHの進化系と考えるのであれば、定額制でなくなることは問題だと思うね。従量制であることの心理的負担ははかりしれないし、逆に今のインターネットのままのほうがいいということにもなりかねないし、その選択肢も残しておくべきじゃないかな。

こう考えてくると結局、従量制の問題は、NGNに対する我々の向き合い方の問題として捉えた方がいいだろうね。果たしてそこに我々の望む情報ネットワークの未来があるのかどうか、慎重に見極める必要があるだろうね。

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by SpeedPoetEX | 2006-09-20 05:26 | ニュースやぶにらみ