Marehitoの溺れる魚は鳥かもしれない

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カテゴリ:本( 3 )

「生協の白石さん」が売れている件について

『生協の白石さん』が売れています。本になると聞いたとき、まさかここまで売れるとは思いませんでした。ハガレンに勝つとも思いもしませんでした(笑

<生協の白石さん>
『生協の白石さん』は、東京農業大学の生協に勤務する白石さんが、要望コーナーの一言カードを通して、ネタ的な要望や質問に対して、無視したり黙殺したりせず、きっちりと答えていく、ユーモラスなやり取りを一冊の本にまとめたものらしいです(読んでないので・・・)。最初ネットで話題になったときは、「白石さん」が男性なのか女性なのか、その人物像に対する興味の集中が多かったような気がします。名前からして女性だと考えていた方も多かったようですね。この白石さんがネットで話題になったとき、最初に私が思い浮かべたのは、ヤフオクで話題になったある人物のことでした。

<ヤフオク出品者との類似性>
その人物とは、確か少年サンデーだかチャンピオンだかを、何年分か持っていて、それを出品してきたのです。出品された品物も面白かったため(プレハブに山と詰まれた漫画雑誌の写真付き)に話題になり、「出品者に対する質問」のコーナーに訳の分からない質問が書き込まれるようになりました。しかしその人物は、書き込まれるネタ的な質問に、驚いたことに一つ一つ丁寧に答えていったのです。さらに増えていく質問、すぐさま答える出品者。しだいにネットでは出品品の面白さより、出品者の性格の良さ、誠実さに注目が集まるようになっていったのです。

<コミュニケーションの回路>
『生協の白石さん』とヤフオクの漫画雑誌出品者との類似性は、「匿名のメディア」に対してなされる当てのないメッセージへの向き合い方の類似性と言えます。例えば生協の要望コーナーに対して「牛を置いてくれませんか?」という「要望」は、生協に対する要望ではなくて、それを読むであろう一般学生へのネタ的なメッセージです。ヤフオクの出品者に対して、「今日の夜食はなんですか?」と質問することも本来設定されているコミュニケーションコードを逸脱している「ノイズ」にすぎません。注目すべきなのは「白石さん」も「ヤフオクの出品者」も「ノイズ」をしっかりと拾い上げて、それを出来る範囲できっちりと打ち返していることです。本来は「ノイズ」にすぎないものを「適正なメッセージ」として対応しているのです。

<ゴースト>
匿名のメディアに浮かび上がるノイズは、あてもなく彷徨うゴーストに似ています。ノイズに対して、あたかも適正なメッセージのように対応するということは、浮かばれない霊を供養するのによく似ています。しかし注目すべきことは、供養するものと浮かばれない霊との関係がある種のヒエラルキーを前提にしてしまうのとはべつに、白石さんもヤフオクの出品者も対等の関係を前提としていることです。対等の関係でゴーストを供養する、この肩の力の抜けた柔軟性とユーモアが、今、非常に歓迎されているということが言えるのではないでしょうか。

それは逆にいえば、TVの中で必死に自己弁護に努める人達が、あたかも全てをオープンにするかのようなポーズをとりながら、記者会見やテレビ番組に出演しつつ、実際には何も意味のあるメッセージを発しないで状況をやり過ごそうとする、不毛なディスコミュニケーション状況を産出しつづけているのとは全く別の、裏のメディアとも言える匿名性のメディアにおいて起きているという事が(話題になった2chの「電車男」を始めとして)、現代の情報化社会におけるメディアの階級性と特異性を激しく浮き彫りにしているように思えるのです。

コミュニケーションとは「透明な存在」が、「透明でなくなる」瞬間のことかもしれないとするならば、匿名性のメディアにおいて生じているこうしたコミュニケーションのありようをもっと真剣に考えていく必要があるのかもしれません。
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by SpeedPoetEX | 2005-11-25 00:44 |

惨敗 金子達仁

なんで、いまさら、この時期にという感じですがw
フランスWC直前から、3戦全敗以降までに発表された、
金子氏の原稿を時系列に並べたものです。

28年目のハーフタイムという傑作の後、決戦前夜というしょうもない本を
出して、個人的にはほとんど興味を無くしていたのですが、
それでもそこそこ読んでました。28は奇跡のブラジル戦勝利をした
西野ジャパンが、実は内部崩壊が修復不能なほど進行し、
訳の分からない形で予選を敗退していく姿を鋭く抉り出した、
素晴らしい作品だと今でも思っています。
取材のかたよりなど、色々批判もあった本ですが、
マスコミが攻撃陣だけにスポットライトをあて、
守備陣が異様なストレスを溜め込んでいく過程、
それが戦術的な側面での意思統一をなし崩し的に破綻させていく様など、ニワカサッカージャーナリズム批判を伏線にして、実にリアルに描いた、サッカーノンフィクションのメルクマールとなる作品でした。

この本では協会の構造的な欠陥と、そこから不可避的に帰結する錯誤(岡田監督留任への激しい懐疑、有効なテストマッチのすくなさなど)をかなり厳しく糾弾しています。この本の中で一番同意できる部分は、日本は能力的には十分戦えるのに、メンタリティーで負けた、という指摘の部分です。それが、岡田監督の「世界の壁」発言や、城選手の奇妙なニヤニヤ笑いに象徴されているという洞察は、正しいと思います。

問題は、そこからいっきに日本人論に飛躍していくことですかね。第二次世界大戦の話にまで回帰しますから・・・もう何十年も前の「進歩的知識人」そっくりの「語り」になるんですね。
というか、この本を読んで、昔から同じこといってるんだなとあらためて気づきましたwこの本は金子版「失敗の本質」なのかもしれないと気づいた今日この頃でしたw

PS:この本の解説がなんと、去年自殺した野沢尚さんでした。
   この解説時にはかなりのサッカーフリークになりつつあったそうです。
   龍時というサッカーを題材にした小説がありました。
                        (未完&未読)

   謹んでご冥福をお祈りします
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by SpeedPoetEX | 2005-02-03 04:24 |

奇跡の人 真保裕一

前半の圧倒的な素晴らしさ、
後半の信じられないぐちゃぐちゃさ。

これは途方もない傑作になる可能性を秘めていたのに・・・

せめて、順序が逆であれば。

もう少し、違う描き方も会ったのではないかな。

惜しすぎる・・・
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by SpeedPoetEX | 2005-02-01 04:18 |